離婚時の財産分与における年金分割の概要

年金分割とは

年金分割は、夫婦が結婚中に支払っていた年金保険料の金額に応じて、離婚後に受け取る年金受給額を調整する制度で、離婚をした元配偶者から直接受け取る財産分与とは異なります。

対象となるのは、厚生年金と旧・共済年金で、国民年金(基礎年金)は対象とされません。

その為、配偶者がサラリーマンや公務員である必要があり、自営業者や個人事業主である場合、年金分割はできません。

また、iDeCo(イーデコ)を含む確定拠出年金は、財産分与の対象とならない可能性が高いです。離婚したからと言って解約できない点や、将来受給する年金額が確定していない性質上、原則としては口座の名義人が受け取る形になります。

財産分与の対象となる可能性があるとすれば、双方の合意が成立した場合であって、法的に財産分与が保護されてはいません。

これは国民年金基金も同様です。

年金分割は単純な1/2ではない

年金は下記のように受給額が決まります。

「基礎年金」+「厚生年金」=「年金支給額」

それぞれの年金額は所得によって変動しますが、この「年金支給額」が1/2で財産分与となるわけではありません。

基礎年金は財産分与の対象ではありませんので、「厚生年金の割合」を「支給額の割合」に当てはめ、その部分のみを1/2にする形です。

婚姻期間中のみが分割対象

仮に厚生年金を20歳から20年納めている状況で、20歳から40歳までの全てが婚姻期間だったとします。

そして40歳で離婚をした場合、この20年分が分割対象になります。離婚後の40歳から60歳までに配偶者が支払った部分については勘案されません。

仮に年金受給額の60%が厚生年金の割合だとした場合、その1/2のさらに1/2。つまり、元配偶者の年金受給額の15%があなたの基礎年金に上乗せされるという形です。(専業主婦の場合)

共働きの場合は受給額が高い方から低い方への分割が原則

夫婦が共働きの場合、年金分割は年金受給額が高い方から低い方へ、厚生年金の差額分を1/2する形になります。

平たく言えば、所得が低い方がもらえる年金が増える、という事です。

年金分割はすぐにもらえない可能性もある

離婚時の年齢が、年金支給年齢(65歳)以下だった場合には、年金分割の手続きをしてもすぐにお金が入るわけではありません。

あくまでも自身が65歳になった時に、年金受給額に財産分与の分が上乗せされる形です。

尚、元配偶者が離婚後、亡くなってしまっても、年金分割の手続きをしていれば受給することが出来ます。

2008年3月と4月で割り合いの決め方が変わる

2008年(平成20年)の4月に法改正があり、「離婚時の第3号被保険者期間についての厚生年金の分割制度」が導入されました。

これにより

2008年4月以降の年金分割は自動的に1/2

となりました。

そして、2008年3月以前の分は最高を1/2とした中での話し合い、もしくは調停・裁判によって割合を決める事になっています。

年金分割の時効は2年

年金分割は、離婚が成立してから2年が時効となりますので、それまでに手続きを済ませる必要があります。

また、事実婚や内縁の場合は、婚姻状態を解消した日(別居など)から起算して2年が時効となります。

専業主婦(主夫)がやるべき年金分割

配偶者が厚生年金に加入している専業主婦(主夫)は、第3号被保険者と言う扱いで、自身は年金を免除されています。

このケースでは、下記のようになります。

「配偶者の厚生年金分の1/2」+「自身の基礎年金」=「財産分与後の年金支給額」

自身がまだ60歳以下であれば、離婚後は配偶者の扶養から外れますので、毎月の基礎年金を自分で払っていかなければなりません。

専業主婦(主夫)で2008年4月以降に結婚しているなら年金分割に相手の合意は必要ない

専業主婦(主夫)の場合、3号分割という制度があり、これには相手の合意は必要ありません。

離婚後に年金事務所に行き、標準報酬改定請求書という書類を提出したら、年金分割の手続ができます。

相手方に来てもらう必要もありません。

2008年3月以前も婚姻関係がある場合は、合意が必要

結婚生活が2008年3月以前から続いている場合、それ以前の年金分割には相手の合意が必要です。

その為、多くの方はこちらのケースとなります。

  1. 年金事務所に連絡し「離婚時年金分割に関する情報通知書」を取得
  2. 話し合いで分割割合を決める
  3. 合意できなければ調停へ
  4. 調停も不成立なら裁判

といった流れで進みます。

協議離婚であれば、その際に合意内容を明記した公正証書を作成し、それを年金事務所へ持ち込めば年金分割の手続きが出来ます。

調停であれば調停調書、裁判であれば判決書が、最終的に裁判官の手で作成されますので、これを年金事務所に持ち込むことで手続きが可能です。

年金分割まとめ

年金分割は、自分の職業、配偶者の職業、年収、婚姻していた年月等々によって、かなり計算方法が複雑です。

年金分割を利用したいという方は、正しい知識を持って手続きをする必要があります。

取得しなければならない書類や手続きが煩雑で、個人で行うのは難しいので、年金分割を希望している場合には、弁護士に相談することをオススメします。

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